時は19世紀。 太陽系の惑星は水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星の7つと考えられていました。 1781年、ウイリアム・ハーシェルによって発見された天王星は、太陽系の版図をそれまでの倍と押し広げましたが、観測が続けられるにつれ「奇妙な歪み」が天文学者たちを悩ませます。 天王星の公転軌道がニュートンの方程式から、わずかに、しかし確実に逸脱した動きをしていました。 計算から観測 数学者のアーバン・ルヴェリエは、望遠鏡を使わず「ペンと紙」だけで未知の存在に挑みます。 1)逆算の試み ルヴェリエは、天王星の揺らぎから逆算し、逸脱した動きの原因となる「見えない重力源」の質量と位置を数学的に導き出します。 2)闇の狙い撃ち 逆算により導き出した座標は当時の常識では考えられないほど遠くにありました。これをベルリン天文台に送り「そこに新しい惑星があるはず」と伝えます。 3)海王星の発見 1846年09月23日の夜。ルヴェリエの手紙を受け取った天文学者が指定された座標へ望遠鏡を向けると、計算結果から1度と違わない位置に未知の星が発見されます。 それは人類が初めて「目」ではなく「純粋な数学」によって発見した星となる海王星でした。 理の証明 この発見は、ニュートンの万有引力の法則が太陽系の最果てにおいても一寸の狂いもなく支配していることを証明する決定打となりました。 アーバン・ルヴェリエ (Urbain Le Verrier / 1811-1877) フランスの数学者、天文学者。 天王星の軌道の乱れから海王星の位置を予測し、「ペン先で惑星を発見した男」と称えられる。後にパリ天文台長を務め、近代天体力学の確立に大きく貢献した。